13, February, 2022
(再編集)
「青年はどんな時代だってバカだ・・・
・・・バカではあるけれど、
あいまいな状態で考えた思考は後になって必ず役に立つ・・・」
NHKスペシャルを見た備忘録
過激な言動、衝撃的な死というマスコミから受けるイメージで、軍国主義の文化人というレッテルを貼られた「三島由紀夫」
読書をあまりしない私は確かにそういうイメージが強い。というか、そのイメージしかない。そんな三島由紀夫が現代の若者が彼に惹かれるらしい。彼の生きた時代や彼のアイデンティティが現代の何かと繋がるのだろうか。
「命売ります」という三島由紀夫の本が5年前から突然売れ始めた。これは異例なこと。私も読んでみたくなり早速オーダーした。
三島由紀夫という人間
若いころから精神と肉体の強烈なコンプレックスを持っていたという。いわゆる病弱な体質ですぐに病に伏せてしまう若いころ。戦中、20歳で召集令状が届き、父母に対して遺書を書いて戦地に赴こうとした矢先に病気で戦地には行かず。
「仮面の告白」という世に出ることがなかった小説がある。自らの経験に基づく性的な葛藤が描かれており、自信が持てない自分、他人との違いに苦しむ三島由紀夫自身ともとれる内容。
「金閣寺」では、主人公が金閣寺を燃やして自らの命も絶とうとするものの、最後は「生きようと私は思った」
三島由紀夫は小説の世界で世に認められ、世界中で訳されノーベル賞候補にまで上り詰める。しかし、受賞したのは川端康成。三島はノーベル文学賞を逃す。そのころから少しづつ変わり始めたという。
高度成長期に「盾の会」を結成し自衛隊に体験入隊を繰り返す。
戦争に行かず、生き残ったものの何も貢献していない自分
青年論へ
そういう生活の中で若者との対話を好んだ。新宿「どん底」という行きつけのバーの元店主がその頃の三島についてそのように語っている。
早稲田大学での講演では、「社会と個人について」の質問に対して答える三島。
最初は社会は敵だった。だから文学の道を選び、文学で社会に認められたと。
東大の学生との対話の中で「若者の情熱を信じる」と語った三島由紀夫
根底まで考える 根底的な対話は必要だとも言っている。
三島由紀夫「青年論」
青年はどんな時代だってバカだ
これは自分のことえを考えて断言できることだが、
せんぜんバカなものなのだよ
ただ、
バカではあるけれど
あいまいな状態で考えた思考は後になって必ず役に立つ
そういう青年は
自分の考えを整理する段階に入れば
だんだんユニークな人間になる
ぼくはね、
青年を信用しないということは、
自分を信用しないということだと思う。
どんな社会でも、
青年は必ずオトナになるんですからね。
そして45歳で生涯を閉じる
その死は今も謎に包まれている。