朝の静寂の中で、このコーヒーを
一口含んでみてください。
グアテマラらしいバランスの良さの奥に、
どこか凛とした力強さと、
包み込むような優しさを感じませんか。
「美味しい」という言葉だけでは片付けられない、
心の奥にじわりと響くような温かさ。
その理由を知ったとき、目の前の一杯はきっと、
昨日までとは違う輝きを放ち始めるはずです。
実はこの豆には、ある切実な願いが
込められています。
かってグアテマラのコーヒー産業は、
完全に男性社会でした。
土地を継いだ女性たちがどれほど懸命に働いても、
「女性なんだから男に養ってもらえばいい。
コーヒーの代金なんていらないだろう」と、
正当な報酬を拒否されることさえあったそうです。
コミュニティから孤立し、
肥料を買うにも高く売りつけられ、
収穫の助けも呼べない。
そんな理不尽な差別に、
彼女たちは唇を噛み締めて耐えてきました。
そんな現状を変えようと立ち上がったのが、
マリアさんという一人の女性でした。
彼女は「ラ・モレナ」プロジェクトを立ち上げ、
わずか 23人の女性たちと歩み始めました。
知識も守ってくれる人もいなかった彼女たちは、
新しい技術をまるでスポンジのように
真っ直ぐに吸収し、泥だらけになりながら、
自分たちの誇りをかけて
最高の豆を育て上げたのです。
今では 780人もの仲間が、
自分たちの力で未来を切り拓いています。
この「ラ・モレナ」の澄んだ甘みは、
彼女たちが手を取り合い、
逆境を乗り越えてきた証そのもの。
僕はこの物語を知ってから、
この一杯を飲むたびに、
どこか遠い国で胸を張って生きる
彼女たちの笑顔が浮かび、
明日から頑張ろうと勇気をもらっています。
今日、あなたが手にするこの一杯が、
慌ただしい日常に寄り添う、
最高のご美となりますように。
