2026/9/12 土曜日
含んだ瞬間に広がる澄んだ甘み。
それはまるで、遠く離れた異国の高い山の上で、
冷たくて清らかな空気を深く
吸い込んだ時のような感覚です。
皆さんは、この一杯のコーヒーが
手元に届くまでに、
どれほど険しい景色を越えてきたか
想像したことはありますか。
この豆が育つ「ウエウエテナンゴ地区」。
また、現地の言葉で「赤い岩」という
意味を持つ「ペニャ・ロハ生産組合」は、
たどり着くことすら容易ではありません。
四輪駆動車に乗り込み、
大きな岩がゴツゴツと突き出した
未舗装の山道を何時間も揺られ続けなければ
なりません。正直なところ、
普段は乗り物酔いなどしない僕でさえ、
あまりの激しい揺れに具合が悪く
なってしまうほどの過酷な道のりです。
しかし、その厳しい地形こそが、
この豆に特別な魔法をかけています。
人の立ち入りを拒むような深い山の中、
急峻な斜面による限られた日当たりと、
山特有の冷涼な風。
この厳しい自然環境が、
コーヒーの実にゆっくりと、
そして力強く濃密な糖分を蓄えさせるのです。
農家の方々は、そんな不便な場所で
朝早くから作業にあたり、
山から湧き出る新鮮で透き通った水を使って、
ひと粒ずつ丁寧にコーヒーの実を
磨き上げています。
あの過酷な山道を思い出すと、
目の前にある一杯の驚くほどクリーンで
透明感のある味わいが、
どれほど贅沢なものか改めて気づかされます。
このコーヒーは、生産者たちの静かな情熱と、
山の恵みが形になった結晶です。
慌ただしい日常の手を止めて、
ふと一息つきたいとき。
遥かグアテマラの山奥で真っ赤に色づいた
コーヒーチェリーの情景に想いを馳せながら、
この清らかな一杯をゆっくりと
楽しんでみてください。

